研究課題/領域番号 |
63490006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩村 行雄 東京大学, 教養学部, 教授 (30012438)
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研究分担者 |
鍛冶 哲郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (30135818)
新田 春夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (00012443)
麻生 健 東京大学, 教養学部, 助教授 (80012524)
恒川 隆男 東京大学, 教養学部, 助教授 (60022258)
吉島 茂 東京大学, 教養学部, 教授 (50011309)
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キーワード | 批判意識 / 戦後社会 / 非ナチス化 / 反体制運動 / モデルネ / ポスト・モデルネ / 主観性 / 保守化 |
研究概要 |
63年度は当初の計画通り、初年度申請書に記したテーマ、1.60年代に始まる新教諸派の改革運動についての資料収集、およびその運動の社会的・文化的背景とその理念、さらにこの運動が及ぼした社会的・文化的影響、2.フランクフルト学派とその周辺の思想家による戦後ドイツ批判とそれが果たした社会的・文化的機能の見直し、および日本においてこれまで殆ど顧みられていないいわゆる保守派(G・ロールモーザーH.リュッベなど)の果たした社会的・文化的役割、3.60年代に始まる新しいドイツ映画(ファスビンダー、ヘルツォーク等)のビデオ収集と、それらの作品の中に描かれた戦後ドイツ社会の諸問題の分析、4.戦後ドイツ文学に一貫して認められる社会批判の諸相と、70年代に始まる主観性への回帰現象にとって社会が持つ意味、を取り上げた。経費の縮減により、テーマによっては資料の収集をはじめ計画の遂行が予定通り進まなかった面もあるが、研究分担者の努力により不充分な部分はある程度補うことができた。 本研究においては、研究分担者各自が複数のテーマを課題にすることによって戦後ドイツの社会・文化現象を多角的・綜合的に捉えられるような体制を組んでいるが、言うまでもなく同じテーマを担う分担者相互の意見交換も可能なかぎり頻繁に行うよう心がけてきた。そのことは今年初めの全体の集まりにおける各報告に満足すべき成果として現れている。ただし、3つめのテーマについてはビデオ化された映画が意外に少なく、資料収集の点で思うように進んでおらず、必ずしも所期の目的を達成していないが、それ以外の本年度のテーマである1.については川中子を中心に、2.については麻生、北川、中を中心に、4.については岩村、恒川、鍛冶を中心に、それぞれテーマへの迫り方に差はあるものの、予定通りの成果を挙げることができた。
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