研究課題/領域番号 |
63490007
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山上 皓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (60107315)
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研究分担者 |
峰下 哲 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (00014358)
石井 利文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00143610)
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キーワード | 精神病 / 精神分裂病 / 殺人 / 放火 / 暴力 / 自殺 / 再犯 / 保安処分 |
研究概要 |
本年度は、収集した資料、とくに精神分裂病犯罪者320例について種々の分析を行い、また、文献調査、施設調査などを通して、犯罪予防策について検討した。 1.資料の分析 精神分裂病犯罪者の罪種別、およびその他種々の特色ある主題別の分析を試み、次のような所見を得た。 (1)殺人と放火には、病的体験に直接動機づけられた犯行や、自殺の意図を伴う犯行が多いなど、幾つかの共通点が認められる。 (2)強盗と傷害には、逮捕歴を有する単身居住者など、再犯傾向の強い者が多く見られた。 (3)無理心中の形をとった拡大自殺未遂例が21例あり、患者を円滑に治療に導入することの必要性とともに、被害者となりうる障害者の子供への配慮の必要性を指摘した。 (4)5年間の追跡調査から、この間に再犯を犯していた45例の精神分裂病犯罪者をとりあげ、再犯要因について検討し、問題行動(前歴、暴力傾向)、治療上の障害(難治性、処遇困難性、易医療中断性)、反社会的人格特徴、環境不全(職、住の不全、家族関係の希薄さ)の、4項目8因子が、とくに重要であることを見出した。 2.犯罪予防策について 医療の枠組みの中での改善を図るのであれば、地域に設置する「集中治療病棟を中核とし、これを「地域ネットワ-ク」と「専門病院」が補う、三層の管理構造を基本とするのが最善と考え、私案を提示した。 しかし、危険な犯罪を頻回反復する事例に対しては保安処分の適用が必要と考え、あわせて、西ドイツにおいて近年成果をあげている、行状監督制度の、我が国への導入の必要性をも指摘した。
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