半導体結晶のように、完全に近い結晶性をもつ結晶の結晶評価法として結晶傾斜法の研究を計画し、本年度は装置の立上げを予定した。しかし、主要測定装置(2サークルゴニオメーター及びオイレリアン・クレードル)の入荷が予定より4ヶ月遅れたため(本年3月入荷)、現在は主要測定装置とX線源との結合に必要な光学系や部品等の機械工作を行なっている段階である。そのため、本年度内に予定した結晶傾斜法装置の立上げ完了までには至らなかった。 一方、実験に使用するGaAs、InPについて、結晶製造メーカーと討論し、結晶に関する調査を行なった。 測定装置の立上げが大幅に遅延したため、代りに、 関西学院大学理学部に設置された4軸ゴニオメーターを借用して、結晶傾斜法の予備測定を試みた。試料には、セクショントポグラフのペンデル縞から静的デバイワラー因子を既に求めた熱処理CZシリコン結晶を用いた。予備実験の結果は、結晶傾斜法によってもペンデル振動が観測され、解析の結果、類似の静的デバイワラー因子が求まることがわかった。また、測定にさいして解決すべき2・3の技術的問題点があることがわかった。 次年度は、先づ測定装置を早急に立上げ、始めにシリコン結晶、次に種々の結晶完全度をもつGaAs、InPについて実験し、この方法が完全に近い結晶性をもつ結晶の結晶評価法として有力なものであることを実証する予定である。
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