研究課題/領域番号 |
63490013
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
竹内 寛 信州大学, 工学部, 助教授 (00029258)
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研究分担者 |
土田 暎子 信州大学, 工学部, 教務員
三谷 道治 信州大学, 工学部, 助教授 (20021016)
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キーワード | 親ナイトレニウムイオン / 一重項状態安定化 / 2、4、6-トリメチルアニリン / オルト-アニシジン / 環状アルキルナイトレニウムイオン / S-T遷移促進 / ベンズアゼピン / ジベンゾアゼピン |
研究概要 |
1-アミノピリジニウム塩やその誘導体の光分解で、ピリジン等の非共有電子対と対アニオンの両者と相互作用して一重項状態が安定化した親ナイトレニウムイオン中間体が発生し、これと電子供与性の高い芳香族化合物であるメシチレンとの反応では、ベンゼンやトルエンとの反応でのアニリンやトルイジンよりずっと高い収率(約80%)で、2、4、6-トリメチルアニリンが得られた。この中間体とアニソ-ルとの反応では、ナイトレニウムイオンとアニソ-ルの酸素原子との相互作用による安定化を経て、オルト-アニシジンが優先的に生成した。これと類似の安定化が、クラウンエ-テル存在下で起こり(一重項ナイトレニウムイオンがクラウンエ-テルに取り込まれ安定化され)、ベンゼンとの反応で18-クラウン-6の添加でアニリンの収率の増大が観察された。 ジアルキル及び環状アルキルナイトレニウムイオンはベンゼンと反応しアニリン誘導体を与えるが、トルエンやメシチレンとの反応では相当する芳香族アミノ化合物を与えずにジトリルやジメシチルを生成した。これは、一見奇妙であるが、後者の反応では三重項反応が有利となり、この三重項反応により一重項から三重項へのS-T遷移が促進されたとして説明出来る。このことは、ジアルキルや環状アルキルナイトレニウムイオンが親およびアルキルナイトレニウムイオンよりも一重項と三重項のエネルギ-差が近接しており、それらの間で速い平衡が存在することによる。 一方、対アニオンにI^-を持つ三重項親ナイトレニウムイオンはナフタレンやフェナントレンに付加しアジリジン中間体を生成して、これらのアジリジン中間体の環拡大反応により、新規の1H-及び9H-1-ベンズアゼピンや9H-及び11H-ジベンゾ〔d,f〕アゼピンを与えた。
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