研究課題
1.アンテセンスMBP(ミエリン塩基制タンパク質)遺伝子導入トランスジェニックマウスにおける内在性MBP遺伝子発現低下のメカニズムの解析。現在まず、マウスMBPに対する抗体を作成し、ウェスタンブロット法によるMBP産生量の検定系を確立した。また転写レベルにおける抑制かどうかを確定する系を別に確立しつつある。2.種々のアンテセンスDNAと各種プロモーターの組合わせによる融合アンチセンスDNAの作成。現在までにMBPプロモーターに対して、(1)βアクチンcDNA(2)V-Ha-ras(3)がん抑制遺伝子RbcDNA(4)ヒトβアクチンプロモーターに対しRbcDNA(5)ニワトリミオシン軽鎖プロモーターに対して遺伝性筋ジストロフィー症の原因遺伝子とされるジストロファインcDNAをそれぞれアンチセンス方向に配置した遺伝子を作成した。3.アンチセンスDNA導入トランスジェニックマウスの作成。上記(1)については3匹、(2)については2匹、(4)については2匹、(5)については17匹のトランスジェニックマウスを独立に作成することができた。(3)については、現在、注入受精卵由来の個体の誕生を待っている。4.(1)の3匹について、内在性RNAの発現抑制を検討したが、有意な低下はみられない。アンチセンスRNAの発現も現在のところ検出限界以下である。他のマウスについては、子孫が得られ次第検討する。5.以上のほとんどのマウスにおいて、現在のところ特に顕著な行動学的、形態学的変化はないが、(5)については歩行障害を生じ、早期に死亡するマウスも出現した。6.(1)(2)についてはMBPを産生する細胞が死に、震えの症状が出ること、(3)(4)についてはがんが、グリア細胞あるいは他の組織に発生すること、(5)については筋ジストロフィー症のモデルマウスが作成されることを期待している。来年度以降にこれらの点について検討したい。
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