アカパンカビの生物時計遺伝子の一つであるprd1遺伝子の機能を解析することを計画して野性株のゲノムライブラリ-からこの遺伝子をクロ-ニングした。現在4.1kbのDNA断片にするところまで成功したが、この断片がprd1遺伝子を含んでいることを以下の実験から結論した。 1.この断片によってprd1株のスフェロプラストをtrasformすると、野性株に戻るものがある。 2.RFLP(restriction fragment length polymorphism)の結果はこの断片が第3染色体のthi4遺伝子のきわめて近傍にある事を示している。これはprd1遺伝子が存在する場所でもある。 3.prd1のDNAからとったこの断片にホモロガスなDNAは1の活性を持っていなかった。 また3の実験を行っているときにホモロガスではあるが、制限酵素地図がすこし違う同じ大きさのDNA断片を得ることに成功した。同じくRFLPを行ってみると、両者は同じ結果を示し、きわめて近傍に位置していることが分かった。このものと同じものは野性株からも得られており、この断片には1の活性はなかった。したがってアカパンカビは常に両DNA持っているらしい。しかし一方はprd1遺伝子として機能するが、もう一つの遺伝子の機能は不明である。現在、この2種類のDNAからのmRNAの同定と同時にDNAの構造解析を行っている。
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