本年度は六朝時代に編纂された上清経と霊宝経のなかから、体内神の神格名をカ-ドに採集し、更に存思法という修道法に関わる資料を経典ごとに収集し、それらに句読点と訓点を附してファイルに整理する、という作業を行った。体内神及び存思法に関する資料には難解なものが多く、その読解に多くの時間を割かざるを得なかったために、本年度に予定していた体内神及び存思法についての思想史的考察と、仏教の止観法との比較研究を行うには至らなかった。これらの研究は次年度に期したい。 尚、本年度は昨年度の研究成果の一部を補正して、「上清経と霊宝経の終末論」という論文にまとめ、『東方宗教』(日本道教学会編)第75号に発表した。更に、これまでの道教研究を集大成して、『六朝道教史研究』という一書にまとめ、創文社(東京)の東洋学叢書の一巻として上梓すべく、既に入稿した。この『六朝道教史研究』には昨年度と今年度の研究成果の一部が含まれている。
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