1.『倶舎論』玄弉訳を全文打ち出し、校正を終えた。目下その結果を入力中で一部分は完成している。なお、全部に頁・段落・行数を入れ、検索に便ならしめている。頁・行数入力ソフトも作ったが、手作業による部分が多く、さほど有力なツールではない。 2.『倶舎論』真諦訳を一部入力中であるが、費用・労力の点で限界があり、年度内には完成しなかった。なお、小部の『大乗記信論』に続き『妄尽還源観』を入力し、校訂・和訳も一括変換を応用しつつ完成させた。これらの作業は今後も継続していく予定である。 3.欠字問題は重要な課題である。『倶舎論』総字数約50万字に対し、欠字は100余字でおよそ五千分の一の確率である。梵語の音写がかなりの部分を占めるから頻度は低いといえよう。他のテキストは約三千分の一程度の確率で、このあたりがおよその欠字数の目途となる。なお、禪文献は俗語を多く用いるので、例えば『景徳伝灯録』で約500字と多い。ただし、これらをクリアすれば中国文学・哲学との共通性も多いから、広い射程でことが行える可能性が出てくる。なお、これらの場合、旧字と新字の統一の問題も考慮しておく必要がある。 4.欠字問題回避のため、現在は半角アルファベト2字の組み合わせで2700余字のカテゴリーが出来るので、それを仮に用いている。全国的な統一ルールが必要である。個人的努力と全体の協力体制のバランスが必要であろう。その際、版権の問題も考慮されねばならない。学会レベルでの取組が要請される由縁である。 5.索引作製用のソフトを簡易言語で作製してあるので、検索は容易であるが、それ以上の研究としては何が可能であるのか、人文科学の研究そのもののシミュレーション、プログラム化が課題となってくる。PCで何が可能なのか。難問であるが、じっくりと考えていきたい。
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