研究課題/領域番号 |
63510020
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研究機関 | 大谷大学短期大学部 |
研究代表者 |
舟橋 尚哉 大谷大学, 短期大学部, 助教授 (70081966)
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研究分担者 |
吉元 信行 大谷大学, 文学部, 専任講師 (50103122)
小谷 信千代 大谷大学, 短期大学部, 専任講師 (40141494)
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キーワード | 唯識の成立 / 三性説の成立 / 唯心から唯識へ / 大乗荘厳経論 / Vijin^^ーapti-ma^^ーtra |
研究概要 |
「初期唯識思想の形成」を考えるにあたり、1)唯識(vijn^^ーapti-ma^^ーtra)の成立と、2)三性説の成立との両面から検討を始めた。1)唯識の成立に関しては、唯心(citta-ma^^ーtra)から唯識(vijn^^ーapti-ma^^ーtra)をと展開していった経過を考察しながら、Vijn^^ーapti-ma^^ーtra(唯識)という語が出る最初はどの経論かを検討した。その結果、諸学者がいう『解深密経』の分別瑜伽品であることはまず間違いなかろうということになり、それと同じような記述が『瑜伽論』の声聞地にもあり、そこでは「唯智」「唯見」「唯正憶念」(大正30、428b)などの用語はあるが、「唯識」の語はない。従って声聞地では説かれていない「唯識」が『解深密経』になって初めて説かれたことになる。 2)三性説の成立に関しても、種々の説があるが、それを一つ一つ検討している。例えば荒牧典俊博士のいう『瑜伽論』菩薩地に説かれる「四種の求法の思惟」と「四種の如実なるままにさとる知」との「八種の構想」と「三類型のまよいの存在」が三性と関係するのではないかとの提言がある。すなわち、具体的にはabhila^^ーpaとvastaとnirabhila^^ーpyaの三つが三性の追計、依他、円成の先駆思想ではないかという説である。このような種々の説を検討している。 また今年度の研究によって得られた新たな知見として、「唯識」(vijn^^ーapti-ma^^ーtra)の成立を考察している内にわかってきたことであるが、『法法性分別論』は弥勒の五部論の一つに数えられているが、どうやら弥勒の論書とは考えられないという有力な資料が得られた。 また研究計画通り、『大乗荘厳経論』については、第五章二利品から梵蔵漢対照による輪読を始めた。勿論、その注釈である安懃観、無性観のチベット訳を参照しながら、『大乗荘厳経論』の思想的な解明を行なっている。
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