研究概要 |
本実験の目的は、安静休息時(3分)と比べてストレス負荷時(寒冷昇圧テストおよび精神加算テスト;いずれも直前(3分)ーー際中(3分)ーー直後(3分)の合計9分ずつ)に、(a).圧受容器の反射感度がどの程度低下するか、また、(b).先年試みたイギリス人と今回の日本人の結果に相異を認めるか、調べることであった。 先年のイギリスは若年女性24名であり、今回の我が国は若年男女各10名(合計20名)であったこと、しかも、今回は連続血圧測定装置に故障のあったことが実験後に判明し、データ整理が一部にとどまった(男子6名,女子5名)ことから、統計的検討を加えるまでに至らず、予備的な結果を得た段階である。 それでも、(a)の基礎的部分について、A.Steptoe博士とイギリスで試みた実験の結果は、ほぼ再現性のあることが示唆された。すなわち、安静休息時と比べてストレス負荷時に、圧受容器の反射感度は、低下の傾向を示した。しかも、受動的に対処するしかすべのない実冷昇圧テスト時よりも、自ら能動的に対処することを求められる精神加算テスト時に、この低下傾向はいっそう顕著であった。 なお、(b)の国際比較部分については、データ件数の少なさにとりわけ問題を残すものの、イギリスで得られた結果とさほど変わらないことが示唆された。 いずれにしろ、(a)と(b)の問題は、今後データ件数を増やしながら、統計的検討に集る水準で一定の結論を出したいと考える。また、高血圧家族歴の有無がどのような影響を及ぼすか、将来的には検討を加えたい。
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