同一の被験者を対象として、生後13カ月・18カ月・24カ月・30カ月と、現在まで4回の観察を終了した。最初の2回はAinsworthのストレンジシチュエイション手続きに従がって、母子相互作用のあり方を観察したが、24カ月時点は2組の母子を同時に観察室に入れ、いずれか片方の母親が退出し、親が在室している子供と不在の子供の社会的交流のあり方を、また30カ月時点では両方の親とも不在になる条件で観察をおこなった。組み合わせは男児同士、女児同士、男児と女児の3条件を設定した。 結果は現在分析中であるが、特に24カ月時点で男児の方に相手と積極的に関わろうとする動きが見出され、女児は自分の遊びに集中し、他の子供が泣き出すような場面でもこれを慰めようとするような動きに乏しかった。また、玩具の使用において、先にこれを使用したこれをにその占有権があるような動きが見られたが、男児が自動車や動く玩具を好み、女児がままごと道具を好むといった傾向は認められなかった。しかし女児は明らかにピンク色の弁当箱を好み、相手に貸し与える時はブルーのそれを代与する行動が認められた。子供同士の関わりが全く認められないケースも存在した。なお24カ月歳では母親が退出すると30秒以内に泣き出す子供が約3割ほど認められた。 子供が30カ月齡になると、親が不在になった子供の動きが極端に少なくなり、玩具を用いた遊びも単調になること、両方の母親が退出すると子供同士の関わりが増加し、母親が在室しているとこれに依存して遊びが行われること等が明らかになった。親が在室している時の会話は親とおこなわれることが多かったが、不在になると子供同士の視線交流が活発となり、玩具の交換や泣き出す子供は1割以下に減少し、自分の母親以外の母親との関わりが急激に増加した。
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