研究概要 |
1.嫌悪刺激の残効に関して.1つの実験を実施し、2つの評論・紹介論文を執筆した。実験はラットを使用したものであった。 2.実験.(1)摂水行動をベースラインとする条件性押制場面で、25秒のCS(純音)と電撃2(120V,0.7秒)を対提示することによって、まず十分に条件性抑制を形成した。(2)次にCSの直前に、0,90,120,150,250Vの電撃1(各0.7秒)を提示し、電撃1による条件性抑制の脱抑制を観察した。(3)電撃1のOV条件をコントロール条件とした場合、CS中の抑制の脱抑制の程度は、電撃1の強度の正の関数であることが、電撃1の強度が90Vから150Vの範囲内では証明された。しかし電撃1が250Vまで強くなると、脱抑制効果はかえって減少した。(4)この最後の事実を除けば、得られた事実は、Solomonらによって提唱さえた相反過程理論からの予想と一致する。(5)電撃のもつ、行動抑制効果と、行動活性化効果を総合的に理解する試みがなされなければならないが、この問題は次年度にもちこされることになった。(6)上の実験の結果は、第49回日本動物心理学会大会で報告される予定。 3.論文.(1)情動喚起刺激の残効に関する相反過程理論に関して、理論の紹介、関連事実の紹介を1988年の論文で行ない、ひきつづき、相反過程の条件づけの問題について、1989年の論文で論じた。 4.1989年度は、相反過程理論に関する理論論文「その3」をまとめる他、実験としては、上記の電撃1の提示位置を組織的に変化させ、その事に関する相反過程理論からの予想の妥当性をたしかめる。
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