労働生活における、過重な心身への負荷事態を「労働関連ストレス」としてとらえ、その心理学的評価法の開発をめざしている。 昭和63年度は、CFSI(蓄積的疲労徴候インデックス・労働科学研究所作成)の信頼性および妥当性の検証を進めた。 被検者として、病院看護婦を選び調査を実施した。病院看護婦については、これまでに、タイムスタディ、機能検査等による職務分析の資料を得ている職種である。 CFSIのほか、フェースシートで、被検者の年齢、職務、経験、所属病棟、勤務形態、および、「仕事の忙しさ」に関する質問を設定した。 信頼性の検証にあたっては、Test-Retest法をとった。 調査対象。公立総合病院。看護職員960名。これらの全員を対象とした。調査期間。昭和63年12月。第1回調査:調査票配付12月15日、回収12月22日。第2回調査:12月23日、回収12月28日とした。第1回と第2回の間隔を約1週間とした理由は、CFSIの尺度としての性格によるものである。一般の標準テスト(知能検査・性格検査)と異なり、CFSIは、労働環境条件の変化の投影された「微候」をとらえようとして作成されたスケールであって、信頼性検証の資料を得るためには、1週間(勤務の1サイクル)あたりが適当と考えた。妥当性検証の資料については、職務の相違を中心に収集している。 結果要約。回収率、第1回667例(95.7%)、第2回647例(93.7%)。これらのうち、第1回と第2回の調査で、同一人の応答として「ペア」が確認されたもの582例である。これらについて、「仕事の状況」への応答を手がかりに分析を行った。「仕事の状況」すなわち「忙しさ」が2回の調査時点とも、「忙しい」と応答した被検者群では、CFSIの訴え率および「パターン」が極めて類似。信頼性検証可能な結果と考える。
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