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1988 年度 実績報告書

戦間期の細民生活と方面委員の活動

研究課題

研究課題/領域番号 63510090
研究機関新潟大学

研究代表者

伊賀 光屋  新潟大学, 教育学部, 助教授 (40108006)

キーワード方面委員 / 細民 / 戦間期 / 地域社会福祉 / 定住
研究概要

方面委員制度の道府県間の比較、市部郡部間の比較をすることで、大正中期〜昭和初期の都市化の時期における、貧困の分布状態、地域社会の再組織化の様態にみられる、都市,農村間の相違を明らかにした。今回の調査研究では1道3府26県分の比較可能な資料を得て、それらの分析から次の諸点を明らかにした。
1.方面委員制度は、大都市での流入貧民に対処する地域組織化活動として発展した。そこで、大都市を抱える府県から、また同一道府県では市部から郡部へと普及していった。方面区域をみると市部では小学校区、町村部では行政区域とすることが多かった。
2.農村県で比較的早く設置された岐阜県、石川県などでは社会局長知事が前任地大阪での経験を生かしている。
3.方面委員の職業をみると、大都市では商工業主が多く、農村部では、農業、宗教家、医師などが多い。そして、後発県ほど、吏員・教師警察官比率が高く、官設的性格が強い。
4.大都市部では、労働能力貧民が多く、カード種別では第一種が多い、そのため取扱も保健救療、金品給与の比率が相対的に高い。他方、農村部では労働不能窮民が多い。第二種が多い。そこで取扱も保護救済相談指導の比率が相対的に高い。
このように大都市部の方面委員活動は、先住中産階級主導により来往貧民の定職化・家族安定・定住化を図るもので、新たな地域社会を形成する機能を果たしていたが、農村部では、既存の部落組織をベースに名望家を動員した官設的方面委員制度が町村単位で上塗りされていたことが分かる。しかも、農村部で実績をあげた県では、たとえば秋田の感恩講、静岡の報徳社、岡山の産業組合など既存の相互扶助組織の活動を発展させたものでああった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 伊賀光屋: 新潟大学教育学部紀要. 31. (1989)

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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