国民の生活水準の向上、医療技術の進歩、保健衛生思想の普及などにより、近年、平均寿命が急速に伸び長寿社会となっている。その一方、これらの恩恵から取り残された人々、及びその家族の意識調査の結果を踏まえて在宅及び地域社会の福祉施策の取り組むべき課題を検討した。その結果、 1) 現状の不満を解決するための施策、 2) 老人世帯の増加、身体障害者、痴呆性、寝たきり等の増加が顕著になり、介護者としては「家族」と答えるものが大半であるが、在宅介護者の精神的、経済的負担は重く、社会システムを望んでいる、 3) ただ単に健康で長寿というだけでは真の幸福感、充足感は得られず、将来に対する不安を解消するための物心両面の要望、具体的には、生計維持はもちろん、健康、生きがいも大きな位置を占めている、 などが判った。 これらの対応策として、 1) 自助努力を基本とするため、常日頃の生きがい、健康、友達付き合い、財産形成等の啓蒙、 2) 家族福祉と地域社会の連携による、在宅介護の精神的負担の軽減、 3) 地域社会と地域企業のファウンデ-ションによる費用援助施策、 4) 各種の制度が乱立しており、ネットワ-ク化によるト-タルシステム、 5) 不満解決型施策から不安解消型施策へのシフト、 などの検討が必要である。
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