株式の相互所有、企業系列間の資金融資、役員の相互派遣などを通じて相互に結合するとされるわが国六大企業集団は、集団としての結合の強さ、活動様式などにおいて必ずしも一義的に規定可能というわけではない。とりわけ旧財閥系のグループとそうでないグループとの間には若干の相違があるように思われる。にも拘らず各グループの集団としての統一性を求めんとする諸活動が存在する。企業がそのビジネス活動の一環として、利益集団(interest group)を形成しようとすることは必ずしもわが国だけの特徴というわけではないが、相互連繋の根幹がinterestのみに基づいていないところに日本的グルーピングの特性が見てとれる。たとえば、共通の商号や商標を用い、その管理についてもグループ内に審査機関を設けたりすることである。 企業集団の中枢は、グループメンバーの社長から成る社長会であるが、定期的に会合し、グループの共通問題の討議をするものとされている。社長会の機能は大きく二つに分けられる。ひとつは、調整者としての役割である。グループ内における投資の重複、あるいは競合する製品の生産を話し合うこと。ふたつには、情報ネットワークとしての役割がある。グループ全体としての利益増大のために必要なビジネス上、非経済的ビジネス上の情報の交換である。共同事業、M&G、新規プロジェクトの企業化など異業種間の持てるノウハウの相互交換はますます重要性を高めている。社長会は、その関連したグループ組織として広報委員会、懇談会、研究会、連絡会などの名称をもつ補佐機関があるが、その内容を見ると、グループ内での情報交換がとりわけ新規プロジェクトの開発、展開に如何に重要であるかと見ているかがよくわかる。各グループの近年の関心は将来的な可能性としての環境、バイオ、中国への投資などがあり、すでにビジネス化しつつあるものに関西新空港、テレコミュニケーションがある。
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