これまで、政治家の研究は、国会議員が中心であった。たとえ地方議員があつかわれたとしても、その研究のほとんどは政治学者によって行われてきた。それゆえ、筆者は地方議員を社会学の視点から取り上げた。つまり、衆議院議員と県市町村議会議員(地方議)との社会関係を支配関係ととらえ、その具体的事実を地方議の衆議に対する選挙協力でみた。地方議員に対するアンケ-ト調査から、つぎのような系列の類型と結論が得られた。 1.系列の類型 第1類型ー衆議・県議・市町村議の3者が系列関係にある。 第2類型ー県議と市町村議とは系列関係がある。しかし、県議と系列関係をもつ代議士と、市町村議が系列関係をもつ代議士とは違っている。 第3類型ー市町村議と県議とは系列関係がない。しかし、市町村議と県議とはそれぞれ別々に同一の代議士と系列関係をもつ。 第4類型ー衆議は県議と系列関係を持つ。しかし、衆議と県議のいずれも市町村議と系列関係をもたない。 2.結論 (1)保守は、革新に比べて系列が進んでいる。 (2)衆議は、県議に比べて系列を進めている。 (3)保守の県議は町議、村議を割合高く系列化しているが、市議をそれ程系列化していない。 (4)保守の系列の契機は、人柄がもっとも多く、つぎに地元と地縁・血縁・友人・同窓が多い。 (5)保守の地方議の系列の契機は、保守の衆議の派閥加入の契機であるポスト獲得、選挙応援および資金獲得とは異なる。
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