研究概要 |
1.今年度、研究計画に従って実施した作業内容は次の通りである。 (1)実地調査図書館 大阪府立図書館、国立国会図書館、筑波大学附属盲学校図書室、名古屋大学・筑波大学・東北大学の各附属図書館。 (2)通信による調査図書館 Naw York Academy of Medicine,Library of Congress,New York State およびPublic Library,Baston Public Library。 (3)研究対象は、次のように仮定して作業を進行させている。 1)特殊学級の種別は、盲・聾学級(先行する特殊学校があった)、言語障害・弱視・病弱学級(先行する教育機関がなく、就学義務化への対応)、精神薄弱学級(施設収容という処遇方針が確立していた)、肢体不自由学級(医療のみから教育を含む処遇へ)。さらに、特殊学級の成立過程に関連する過年齢・怠学・非行等の児童ないし学級。 2)学級設置地域は、各種別の学級が、東海岸諸州や中西部諸州で重複しており、その理由について、種別ごとに検討中である。その基準を例示する。関連特殊学校・医療機関および公私の社会福祉制度ないし機関の存在、公教育の普及・新しい教育思想など教育諸条件、犯罪・非行等の対策、移民の流入と産業の発展に伴う社会状況の変化、都市の規模。 2.研究計画のうち、検討対象として、肢体不自由児を追加した。その教育自体は、19世紀後半以降、整形外科病院で医療の一環として行われていた。この病院内教育から19世紀末以降の公教育としての教育へ発展する過程には、他の障害児教育には見られなかったが、現代障害児教育の本質に関わる諸要素がある。例示すれば、医療側が期待する教育と公教育における教育の意義、医療と教育の提携、公教育化するための社会的・医療的条件、特別な教育形態・学校設備・輸送問題。この発展過程を解明することは、現代的な意義がある。 3.文献調査に並行して収集した資料については、現代整理中である。
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