申請時までに本テーマで行ってきたことは、1特別学級に関する先行研究の整理、2大正期における4つの文部省調査報告書の検討、3前記文部省報告書の「特殊教育実施校」に対する再調査の実施、4戦前の特別学級設置校に対する実施調査とその概要の整理、5和歌山県南部小学校の劣等児組についての事例研究であった。そしてこの整理の上に、本粘土研究実施計画を立てた。以下、実施計画の柱に沿って本年度のまとめを行う。 1.従来の研究作業で明らかになった事例に関する整理について、 文部省調査の再調査にて特別学級の存在が確認され、かつ、実施調査を行い、比較的史料の揃っている8校について整理を行い、比較検討、共通する事項を折出し、特別学級の成立要因を仮説的に提起する研究を論文として発表した。 2.典型事例の実地調査につて. 本年度実施調査を行ったのは、イ新潟県内野小学校、ロ愛媛県松前小学校、ハ福井県三四南小学校、ニ兵庫県三田谷治療教育院(ハニは3月中に予定)である。これらのうち、内野小学校については、大正期の原級留置児の実態を分析し、特別学級成立との関連を論及した(投稿中)。ロについては大正期の地方小学校における特別学級の展開と、そこにおける教師の役割を中心に現在論文を執筆中である。 3.戦前の教育雑誌掲載の関連記事の収集について. 四国、九州地方について筑波大学図書館所蔵分についてほぼ完了。他に岡山県、新潟県、旧満州・朝鮮の教育雑誌について1部終了。 4.他の関連文献や資史料の収集と整理について。 新潟県、愛媛県、満州関連の史料はかなり収集している。特に、満州日本人学校における特別学級に関連する史料は貴重であると考える。
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