1.「苗族」「瑶族」「〓族」関係文献のデ-タ化 従来、基本的なレファレンス・ソ-スとして利用してきた『東洋学文献類目』(京都大学人文科学研究所編)のほかに、『復印報刊資料・中国小数民族』(北京・中国人民大学書報資料社)まどを援用して、1979年から1988年に至る10年間に刊行された出版物の中から、苗族、瑶族、〓族に関する文献を、それぞれ766件、646件、111件、合計1523件の関連文献を抽出し、ソ-ス・ドキュメントとして書誌学的分析を施した。次にコ-ド化された書誌情報を、所定の前処理を施して逐次既設の電算機に入力し、最終成果として3民族についてそれぞれ「収録雑誌、論集、日報、晩報等一覧」「各民族関係文献目録」「著(編)者名索引」「キ-・ワ-ド索引」の4種のインデックスを装備したデ-タ・ベ-スを作成した。 2.この研究で得られた主たる知見 右のデ-タ化の過程で抽出された総数1523件の文献について、個別に内容を分析し、それぞれ所定の文化項目に分類した結果、次のような知見を得た。 (1)苗族、瑶族、〓族の3民族とも「神話・伝説」「文学」「歌謡」「歴史」「婚俗・婚礼」「習俗一般」等の諸項目に分類される文献の頻度が高く、さらに苗族と瑶族については、ともに「文字・言語」「宗教・呪術」「社会」に関するものがそれに次いでいる。 (2)「体質」に関する文献が若干見られるのは、中国において形質(自然)人類学が、ようやく緒についたことを示唆するものであろう。 (3)概して、「衣」「食」「住」をはじめとする「物質文化」の民族学(文化人類学)的研究の立ちおくれが目立つ。
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