1988年度は、清代〓案の各種の性質を研究する為に、台湾の政宮博物院から刊行された「宮中〓乾隆朝奏摺」44冊、及び中国北京の中華書局から刊行された「清実録」60冊を購入し、奏摺や題奏に関する記述を蒐集し始めた。「清実録」の中華書局本は、所謂滿州国で1936年に刊行されたテキストが、内容にわたる改作や誤りがあったのに対し、第一歴史〓案館の大紅綾本を用いたという点で重要な意味をもつものである。この他、これら題奏や摺奏の為に手引書として用いた「摺譜」「繕摺款式」「冊結款式」などの複製をもつくり、内容を検討している。また「雍正〓批諭旨」については、過去に作成した12万枚のカードのなかから、重複する項目をはずした、項目索引をつくる為に、データを大型計算機に入力した。文字数は約八万。予算の関係上、内容索引にまでは至らなかったが、これら項目のみでも、「雍正〓批諭旨」にこれらの社会経済史に関する語彙の存在することがわかり、検索を容易にするであろう。来年度には、若干の整理をした上で、印刷に付し、公共の用に資するようにしたいと考えている。
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