1.北海道及び国内の考古資料調査、 (1)北海道と中国東北部との先史文化交流をさぐるため道内主要博物館6館において、より北方、大陸的要素の強い遺物を抽出し撮影、スケッチを実施。 (2)本州の中国文物を所蔵する博物館6館において旧石器、新石器、殷周時代の土製品、石製品、玉器、ガラス製品、青銅器等の文物から北海道先史遺物との共通性を示唆する形状、意匠、文様等を抽出し撮影、スケッチを実施してきた。 2.中国考古学文献調査、 (1)中国東北部の黒龍江省、吉林省、遼寧省の3省を中心とする旧石器、新石器、殷周時代における考古学的情報を得、北海道の先史遺物との対比のため、最近30年の中国各省の考古学的成果をとりまとめた「中国考古工作三十年」(1979年、文物出版社)の他、中国の考古学定期刊行物「考古」「文物」「考古学報」「遼海文物学報」等より関係報文約100篇を抽出、複写を実施。 (2)これらの報文の中より、本研究を進める上で当面必要と考えられる報文約20篇について中国留学生の翻訳協力を得ながらすでに訳出を終えている。 3.中国の考古学研究者との確認調査、 (1)国内調査及び中国の考古学文献調査で抽出した先史文化交流の確認は、東北3省の黒龍江省博物館、吉林省博物館、遼寧省博物館、遼寧省朝陽市博物館に照会して進めている。 (2)照会及び減殺準備中の確認事項は、〈1〉後期旧石器時代の楔形石器と荒屋型彫器を共出する遺跡の分布、 〈2〉新石器初頭の石刃鏃の分布とその南限、 〈3〉新石器紅山文化の玉器と縄文前期の抉状耳飾との関連性、 〈4〉殷周時代の青銅器意匠と縄文土器文様との共通性、 〈5〉秦代陶器と縄文晩期土器の器形と施文法の同一性、 〈6〉擦文住居(釧路市)発見の湖州鏡の分布とその北限、 〈7〉コハク、ガラス製品の分布と初源、 〈8〉アイヌのムックリ(口琴)の分布と初源などである。 (3)この内、朝陽市博物館より〈8〉の骨製口簧琴(22.90±90y.B.P)の資料情報の提供回答があった。
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