研究課題/領域番号 |
63510234
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐久間 まゆみ 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (30153943)
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研究分担者 |
川原 裕美 筑波大学, 文芸・言語学系, 助手 (40195128)
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キーワード | 日本語教育の中・上級レベル / 読解指導 / 作文指導 / 要約文 / 韓国人日本語学習者の誤用例 / 文章構造の分析 / 原文残存認定単位 / 文章理解 |
研究概要 |
本研究の初年度に当たる昭和63年度の研究実績は、韓国人日本語学習を対象とした要約調査を中心に、以下の3観点から報告される。 1.要約調査に用いる原文の文章構造の分析に基づく研究方法の検討--「五〇〇字提言」(『PHP』)という短い論説文6種を、約4分の1の150字の長さに縮めて書かせる調査を日本と韓国の大学生に実施し、その異同から、要約文の実態把握をし、韓国人日本語学習者の文章の理解力と表現力の問題点を明らかにしようと計画を立てた。原文の文章構造の特性が要約文の中に反映し、それは同時に要約文の書き手達の読解のあり方を示すものであろうという仮説を立てた。文章全体の主題がどの位置に表れるかによって、尾括式・頭括式・中括式・両括式・散括式・零括式の6つの文章構成類型に当たる原文を選び、個々の文章構造の分析を行い、原文と要約文の関連性を調べるための分析項目を定めた。 2.すでに2期にわたって実施済みの約100名の日本人大学生の6種の要約文データの処理と分析--日本人の要約文の実態把握をし、韓国人の要約文との比較をする上での有効な観点を見出し、かつ韓国での要約調査実施のための留意点を検討し、調査協力者への指示をまとめた。要約文における原文の残存傾向をとらえ、その要因を探りつつ要約文の類型を設ける一手段として、「残存認定単位」という節を中心とした意味的単位を尺度に用い、各要約文の一文がどのような単位の組合せからなるかを複数の判定者がチェックし、その残存状態を(1)原文通り(2)原文の一部言い替え(3)原文とは全く異なる表現の3種に分けた。その結果をパソコンを用いて集計し、各単位別に残存率を求め、検定を行った。 3.韓国3大学の日本語科4年生約60名対象の要約調査の実施とデータ処理--6種の要約文のデータベースを作成し、4名の日本人大学生が原文残存判定作業を行った結果から、誤用例の分析方法を検討した。
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