研究課題/領域番号 |
63510234
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐久間 まゆみ 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (30153943)
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研究分担者 |
塩澤 和子 筑波大学, 文芸・言語学系, 講師 (80187327)
小宮 千鶴子 東京外国語大学, 附属日本語学校, 講師
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キーワード | 中・上級レベルの日本語教育 / 読解・作文指導 / 要約文調査 / 原文残存認定単位 / 誤用表現のデ-タベ-ス / 韓国人学習者 / 論説文の文章構造類型 / 要約作文の評価法 |
研究概要 |
本研究に着手して2年目の平成元年度は、前年度に実施した韓国人大学生の日本語要約文調査(韓国3大学日本語科4年生、論説文6種)の結果得られえたデ-タを、次の3観点から処理し、分析を行った。 1.500字の原文の要素が150字の要約文の中にどう用いられるかを、残存認定単位という尺度によって4人の日本人大学生が判定した結果を百分率で求め、日本人大学生の同種のデ-タと比較検討し、両者の間の相関率が低く、異質であることを確かめた。韓国人デ-タは残存の一致率も日本人に比べ相対的に低く、大学間・個人間のバラつきが大きいことが明らかになった。これは中・上級レベルの日本語教育の読解・作文指導の抱える到達度の違いを反映するものと解釈される。 2.1の判定作業の精度を見るために、各文章1名の日本語教師が同様の方法で追跡調査した結果を(1)G(原文通り)(2)P(パラフレ-ズ)(3)【○!P】(完全言い換え)(4)E(誤り)に分けて集計したところ、特殊な原文残存認定単位以外はすべて一致を見た。従って、今後、単独の判定作業の有効さが予測され、残存認定単位の改善と誤りとの関連を検討する必要が出てきた。残存認定単位によるEの認定は限界があるとわかる。 3.日本人と韓国人各2名の日本語教師が6種の要約文の誤用表現の分類と訂正方法について討議し、その方針に従って韓国人大学生の全要約文の誤りを3名の日本語教師が分類・訂正した結果を、コンピュ-タに入力してデ-タベ-スを作成するためのプログラムに書き換え、全部で10種類の誤用例の記号を定め、業者に発注して校正作業を行い、複数の観点から検索することが可能になった。あわせて全要約文の手書き原稿を入力し、誤字については外字コ-ドを割り当て、資料を作成した。 1〜3の基礎作業で得られた各種デ-タを検討し、次年度の韓国人学習者の要約作文の分類・評価方法の可能性について討議した。
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