今年度は本研究の目的、研究計画に従って資料の収集と集中、その分析を主に作業を行った。1.<左連関係の文献目録を中心としたデータベース化>まずハードディスクを購入し、共通のデータベース・プログラムを使用して、それまで個々人が収集していた資料の共有化・データベース化を行った。第一段階として左連研究に不可欠な基礎資料<新文学史料><現代文芸研究資料叢刊><魯迅研究資料>等の創刊号から現在までの文献のデータベース化を行い、これによって各資料の著者別索引、文献目録等の作成、検索が可能になった。2.<左連関係の資料収集>創造社関係五種、海風週報等の左連関係雑誌(影印本)を購入した。更に京都大学、天理大学などに赴き左連関係の稀覯書<北平分化>等の諸雑誌の調査、収集を行い、今後の本格的な収集の方途を得た。3.<関連資料の調査・収集>金沢大学、石川近代文学館、国会図書館、実藤文庫、日本近代文学館等に赴き、東京左連と日本プロレタリア文学の交流に寄与した森山啓、秋田雨雀、藤枝丈夫等に関する調査と資料の収集を行った。4.<資料の集中>以上の作業の結果得た資料を埼玉大学に集中し、初歩的に他の便宜に供せられる体制を整えた。5.<成果の取りまとめ>今年度は初年度でもあり中間報告のかたちを取りながら小冊子<左連研究>(仮称)を発行し、東京左連前史をまとめた論文、「北方左連関係文献目録」、「胡風著訳目録(その一)」等を収めることとした。また「村松梢風と中国」(論文)をまとめた。
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