13世紀にドイツ語で書かれた格言詩"Bescheidenheit"の動詞の用法を言語理論のモデルを用いて分析し、当時の動詞体系の記述を試みる事を目的として始めた本研究は、同時に、過去の時代の言語の分析のためのコンピュータの利用の問題点を探り、研究の可能性を広げる事も目的としていた。 分析のモデルとしては、インフォーマントのいない13世紀のドイツ語についても、構成要素構造の分析に基づく句構造文法が適していると考えられる。ただし、特に機能動詞構文と呼ばれるものをどう分析するか、という問題は残っている。 コンピュータへのテキストの入力は、今後、公開のデータベースの一部とする可能性もあるので、できるだけ汎用性のある形式が望ましいと考え、アスキーファイル形式とした。特殊記号などの処理は、文字置き換え方式によることとした。 テキスト型のファイルを分析するためのソフトウェアーとしては、大型機を利用できる場合には、東大大型計算機センターなどで公開されている文章解析プログラムOCP、パーソナルコンピュータを利用する場合にはMicro-OCPプログラムを利用するのが便利であることがわかった。これに文字置き換えを組み合わせれば、多様なテキストの分析も可能であるとの見通しが立った。
|