従来、リ-スの法的性格に関しては法学界でも種々の議論があったが、本年はこのような法的性格論ではなく、リ-スの社会的機能に焦点をあてた研究を行った。とりわけ中心となったのは、リ-スの節税機能と、リ-スの会計上の処理の問題である。これらの問題については、昭和53年、昭和63年の二つのリ-スの税務通達、昭和63年の計算書類規則の改正と、それぞれ政府当局の対応するところとなっている。 最初に、リ-スの節税効果についてですが、これは、一般のファイナンス・リ-スと、いわゆるレバリッジド・り-すと呼ばれるものとでは、節税のあり方が異なっている。一般のファイナンス・リ-スの場合は、リ-ス期間を、取引対象物件の法定耐用年数より短く設定する。その結果、ユ-ザ-の側では、物件を購入した場合の法定耐用年数による減価償却費と較べて高額のリ-ス料を払うことになる。ユ-ザ-は、この〓減価償却費の差額分だけ利益を減少させることができ、それに対応して法人税等も減少することになる。この節税分を、リ-ス会社の利益、リ-ス料額に反映させ、リ-ス取引当事者間で利益の分配をはかるのが、一般のファイナンス・リ-スである。これに対し、レバリッジド・リ-スは、取引対象物件の法定耐用年数より長いリ-ス期間を設定し、リ-ス料を減価償却費より低く定め、ユ-ザ-ではなくレッサ-側に赤字をだすことによって、レッサ-の利益を減少させ、レッサ-側に節税効果を発生させるものである。 リ-スと会計の問題は、リ-ス取引は、ユ-ザ-にとって物件の融資付購入としての実質をもつにもかかわらず、法形式上、負債、物件購入の形をとらないため、貸賃対照表上、流動比率、負債比率をそのまま維持できることにある。これは、ユ-ザ-にとってはメリットであるが、財務諸表を見る者の判断を誤まらせかねないという問題をはらんでいる。
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