簡易裁判所の略式手続、とくに全国で年間約二百万件を人力で処理している「交通切符による三者即日処理方式」のより迅速、能率的、合理的な処理と省力化を図るために、電算機の利用がどこまで可能でありかつ有効であるかを検討し、同処理方式の電算化システムを開発すべく、その研究に着手した。すなわち、まず第一に、交通切符による三者即日処理方式についての正確な知識と正しい理解を得るために、同処理方式の関係法令と書式、ならびに関連文献を渉猟した。この作業の結果得た知見に基づいて、つぎに、現在行なわれている人力による処理過程の詳細なフロー・チャートを作成した。そして、このフロー・チャートをたたきだいにして、実務家の意見を聴取しながら、同処理方式の電算化システムを検討してきたが、私の考えてきたように、まさに同処理方式が電算化になじむものであり、かつ、それによる処理がいかに有効なものであるか、を認識することができた。 そして、目下の検討課題を、いかなる事案をどの段階でアウト・プットさせて、人力が介入し、さらにそれをいかにフィード・バックさせるのが合理的か、に進めている。この検討は、つまるところ、検察官の求刑意見と裁判所の略式命令(罰金額)の自動計算システムを研究することにある。
|