1.2人以上の普通世帯の資産保有額は実物資産と金融資産をあわせて平均値2800万円、中央値2000万円であった(日本、1984年)。全体としてみると保有資産の85%は実物資産であり、とくに土地保有額の占める割合が53%となっていて断然大きい。 2.同じ年(1984年)のアメリカの調査によると、平均値10万1900ドル、中央値5万100ドルであった。1ドル240円で換算すると、1984年時点で日本の家計資産はアメリカのそれを平均値・中央値とも若干ながら上回っていた勘定になる。 3.他方、日本家計の保有する人的資産は1984年現在、一世帯あたり平均で1億3000万円弱と推計された。この金額は上記の2800万円(実物資産と金融資産の合計額)の4.7倍に相当している。 4.人的資産の合計額は25歳前後が最も多く、それ以降は高年齢になるにしたがって少なくなる。20歳代後半層は平均して2億1500万円の人的資産を保有しており、その68%(1億5000万円弱)が生涯賃金となっている。 5.固定資産税を増税し住民税を減税するという致策パッケージは勤労者世帯にとっては全体として税負担が軽くなるので歓迎すべきものである。高額資産の保有者でありながら低所得に甘んじていた者の税負担は、このような改革によって増大する。 6.勤労者世帯にとっては、社会保険料の引上げよりも消費税率の引上げの方がダメージは少ない。来たるべき高齢化社会においては、年をとっても応分の負担をしつづけるシステムを構築することが求められよう。
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