1.研究計画の実施状況(1)設備備品費はすべて洋書購入に充当したが、価格上昇により計画額をかなり上回って、支出せざるをかなかった。(2)研究出張計画はおおむね達成できた。(3)資料整理(切抜き作業、カード作業など)は非常に進歩した。 2.研究の進展状況(1)ドイツ文献を中心に歴史的研究および諸外国における最近の民営化に伴う政府の資本参加政策など公企業問題に関する外国文献の研究が進歩した。(2)経済企画庁総合計画局資本班「第三セクターに関するアンケート調査結果報告」昭53・3月、財団法人自治総合センター「大都市におけるまちづくりと地方公社の役割」昭58・3月、地方行政システム研究所「自治体の出資法人の定住構想の推進に果す役割とその組織・運営の実態に関する調査報告書」昭58・3月、さらに昭63年版『地方公社総覧』(地方政策研究会編)昭63・3月について、第三セクターの全国的動向と事例研究の一部における特徴点を把握できた。 3.新たにえられた知見(1)第三セクターの現代的形態は(ア)地域開発型(イ)都市経営型(つまり収益部門の黒字で非収益的な公共事業の赤字を企業内部において内部補助するもの)、(ウ)管理委託型(とりわけコスト節約的および補助金行政的な類型が主要なもの)に大別される。(2)地域開発型から管理委託型に重点が移ってきている。都市経営型に第三セクターの本領がある。(3)複合企業化が必要になってきている。組織目的の見直しが必要なケースがある。(4)助成は鉄道部門については今後の調査にまつことにして、あまりみられない。(5)規制についてはさまざまな問題が考えられるが、原則的に政策的コントロールは甘受すべきであるが、経営的コントロールは避けるべきであり、とくに議会による規制はある程度は必要であるが、経営権の侵害にならないしかたが望まれる。
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