1 研究の進展状況(1)本年度は民営化及び公共経済と市場経済のいわゆるディマケ-ション問題を中心に、内外文献について第三セクタ-の研究の前提となるべき側面をかなり明らかにすることができた。(2)各地の第三セクタ-鉄道についてかなり実態に触れることができた。また、大阪・神戸などに従来から展開している第三セレクタ-、東京・千葉・横浜方面の民活型第三セクタ-など表日本に立地するものを調査し、これらとの対比において金沢、富山などの北陸方面の類似のものを調査することができた。 2.新たにえられた知見(1)第三セクタ-鉄道では、国鉄からの転換にあたり施設・設備の無償譲渡または無償貸与の上に、初期投資及び転換基金設置のための転換交付金(いわば支度金)、5カ年間の欠損の2分の1補助など国の財政措置や自治体・企業等からの運用・協力基金、住民の協力会設置などの支援体制にささえられており、旧国鉄の借金は国の負担となっており、多くの会社は無償貸与され固定資産税の負担をまぬがれている。(2)民活法の特定施設にされることによってNTT株売却益無利子貸付、開銀の低利融資、補助金がついてくるといったしくみ、さらに東京一極集中の緩和が叫ばれるなかで民活法推定はかなり東京やその近郊にかたよっており、大阪方面を加えると、この傾向は無視できないこと、これは第三セクタ-形態と無関係ではないのではないかといった点が注目される。(3)行政ソフト化型とでも言うべき住民の新しいニ-ズに結びついた第三センタ-が注目されつつあり、今後の課題である。 3.第三セクタ-鉄道調査のため福島方面に出張する計画であったところ、岐阜などの調査結果から判断しこの計画を中止した。主として苫小牧地区を対象とする北海道方面調査は、日程の関係から平成2年度に計画を延期した。
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