本研究の課題は、1949年から1971年までのわが国のいわゆる固定相場時代を対象として、1)国際通貨システムのなかでの日本の位置の変遷をたどり、2)そこでの対外金融の機猫的連関を明らかにするとともに、3)国内の経済発展にとって対外金融の果たした役割を明らかにすること、にある。昨年度の実績報告書にも述べたように、この時期の対外金融政策については、政策資料はまったくといって良いほど未公開・未整理であり、本年度も昨年度に引き続いて大蔵省国際金融局および日本銀行保有資料の発掘・整理にあたった。 この結果、対外金融関係の大転換期であった2つの時期、すなわち、1)戦争単一為替レート設定期、3)変動相場制移行期、の2つの時期については、ほぼ資料の発掘・整理を完了し、研究成果報告書に示したような成果をあげることができた。すなわち、第1の時期については、国内政策主体、具体的には、経済安定本部、大蔵省、商工省、日銀等の間の理論的対抗と実態認識の差異の検出、また、GHQ/SCAP、アメリカ本国政府とのそれぞれの関係を明らかにし、それがどのように単一為替レート設定に帰結していくかを明らかにしえた。また、第2の時期についても、1960年代末からドルショック、石油ショックにいたる時期の政策立案過程を通貨当局の内部対抗にまで立ち入って検討し、またこの時期に頻繁に行われた国際会議については、そこでの協議過程を含めた日米間、日欧間の対抗関係を解明した。
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