企業の事業再構築を産業構造転換との関連で分析する時、コンツェルンの再編成ということが注視される。成熟化段階を迎えた自動車産業については近年航空宇宙産業との接近が試みられており、ダイムラ-・コンツェルンによるMBBコンツェルンの系列化もその代表的なケ-スである。成熟産業による成長産業の組み込みによる産業再編成は、連邦政府の航空宇宙産業育成政策による政策的判断が働いている。特に、商業用航空機であるエアバスの製造、開発をめぐる欧州共同プロジェクトの一端を担うMBBについて、分担生産に伴う固有の経営圧力という問題性を明示し、同時に系列化に伴う自動車産業へのインパクトを示唆した。 その産業特性という点からするとかなり異質な面が少なくない。後者においては、技術集約的性格が強く研究集約度においては他の産業部門と比して抜きん出て高い。しかし、比較的優位性という点からすると、西ドイツの場合、自動車産業とは対照的に航空機産業の弱さが顕著となっている。 それにつけても航空機製造においては、マイクロ・エレクトロニクスを中心として多くの部品産業企業との技術的総合を必須とする航空機製造・開発での戦略展開、再組織のマネジメント展開についても検討する予定でいる。
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