SINC法およびHOMOTOPY法に基づく数値解法の研究

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63540150
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 池辺 八洲彦 筑波大学, 電子・情報工学系, 教授 (10114034)
• 研究分担者: 宮本 定明 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (60143179) ; 稲垣 敏之 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (60134219) ; 小柳 義夫 筑波大学, 電子・情報工学系, 教授 (60011673) ; 名取 亮 筑波大学, 電子・情報工学系, 教授 (70013745) ; 森 正武 筑波大学, 電子・情報工学系, 教授 (20010936)
• キーワード: SINC法 / デジタルフィルタ近似 / ホモトピー法 / 差分商の行列表現

研究概要

F.Stenger,"An Analytic Function Which Is an Approximate Characteristic Function", SIAM J.Numer.Anal.12(1975);239-254,に示されたSINC法に基づいた楕円関数近似より、有理関数近似(無限級数)を導き、これより、ステップ関数、フィルタ関数、デルタ関数近似を導いた(次頁最初の論文)。デジタルフィルタの設計法として楕円フィルタにくらべて、格段に簡単な上、本科研費による追加研究の結果、すばらしい精度が確認されつつある上に、有理型近似になっているため、これに基づいた電子回路を実装することが容易であることがわかっている。フィルタ関数はデータ通信においても重要であるから(立上りの鋭さはパケットのつめ込み効率に直接ひびく)、本研究の成果は応用上、大きなインパクトをもつと考えている。
HOMOTOPY法の行列固有値問題は、T.Y.Lee等の結果にさらに改良できる点がいくつか発見されており、今後ひきつづき、考察を進めていく予定である。
さらに、本研究の副産物として位置づけられるものが次頁第二の論文である。見やすい表の形にして提示するという、目的以外にあまり意味のない「差分商表」を「差分商行列」という上三角行列に配列しなおせば、0次よりn次(n=1,2,・・・)までの差分商間の間に存在する美しい関係を見出すことができるのみならず、差分商行列のコーミー積分型表示が可能であることがわかった。数値解析の教科書の差分商に関する章は、この事実をとり入れれば、より現代的に書きかえられるはずである。

研究成果

• [文献書誌] Ikebe,Yasuhiko;Kowalski,Marek;Stenger,Frank: Submitted for Publication.
• [文献書誌] Ikebe,Yasuhiko;Fujishiro,Issei;Asayama,Yasusuke: Submitted for Publication.
• [文献書誌] Kamada,M.;Toraichi,K.;Ikebe,Y.; Mori,R.: Int.J.Systems Sci.20. 157-170 (1989)
• [文献書誌] Mori,M.;Natori,M.;Zhang,G.: Int.J.Numerical Methods in Fluids(In Press). 9. (1989)
• [文献書誌] Fujishiro,I.;Ikebe,Y.;Hayashima,A.;Watanabe,M.: Computers and Fluids(In Press). (1989)
• [文献書誌] Inagaki,T.;Ikebe,Y.: Microelectronics and Reliability. 29. 165-175 (1989)