研究課題
主として、構成比データの主成分に関する分析手法にかかわる研究を行なった。これらに関しては、Aitchison(1983)によるlog-ratio法、多賀谷(1984)による開平法のようにデータを特定の関数によって変換して、通常の主成分分析法を適用する方法以外にも、構成比データを1つの確立分布とみなすことによって、データ間に直接色々な距離を定義し、Mardia(1979)による距離分析を適用する方法が考えられる。この研究では、後者の立場に立って、以下のような距離について考察した。理論的側面として、(1)、(2)についてはEuclideanであることを示すことができたが、(3)、(4)については示すことができなかった。又、数量化III類といわれる分析法も、一種の距離分析とみなせることが示せた。応用的側面として、上記、(1)、(2)、(4)及びAitchison等の方法を統合した構成比データ分析のソフトをACOS-350上で開発し、現在パソコン上に移殖中である。さらに、数値計算の結果、(4)による方法と多賀谷の方法とが非常によく似た布置を与えることが判明した。