研究概要 |
この研究の目的は、非線形方程式の数値解法に関連する諸問題(解法のせん択、数値解の事後誤差評価法、解の一意性,不安定性の処理等に)を考察することであった。研究代表者山本は1984年頃からKantorovich型仮定の下での反復法の収束性、事後誤差評価、解一意性領域等につき研究を進めており、本研究はその延長線上にあるものである。 山本は、近年、非線形回避問題に対するGause-Newton法に対して、Haupler(1986)が、与えたKantorovich型収束定理には解の一意性に関する主張が不完全であることを見抜き、従来から展開している手法を用いて、満足すべき一意性定理の証明に成功した。 また、非線形境界値問題に対し、山本がMath・Japonica(1982)において与えた、解の存在定理はきわめて鋭い事後誤差限界を与えるものであるが、最近、南京大学沈祖和教授から、そこで与えた数値例には、計算に不完全な点がある旨の指摘を受け、解析法を修正して再計算を行った。その結果、従来のものよりよい評価がえられたので、それを同誌に修正発表した。(小西敏雄と共同筆従筆)。 一方、北川高嗣は不安定な方程式の解法につい考察し、正則化法における最近パラメータの推定法を提案した。この結果は近く情報処理学会欧文誌に発表の予定である。 尚、山本は、Kantorovich型仮定の下での収束定理に関連した文献の収集を行い、既発表の論説 「Newton法とその周辺」 (数学37(1985)、1-15)に加筆した。この論文の英訳はアトリカ数学会発行の新雑誌Sugaku Expositioに掲載される。
|