本研究では、惑星状星雲中心星のうち近接連星をなすものに着目し、光学観測から惑星状星雲中心星の基礎的な物理量を精度良く決定することを目的とする。この研究は2年間にわたって行われ、本年度はその最終年度にあたるので、観測デ-タ収集を引続き行なうとともに、解析、研究のとりまとめを行なった。 1.国立天文台岡山天体物理観測所において光学観測を行なった。 4月14日-20日および8月1日-8日:測光、0.9m望遠鏡 11月21日-28日:分光、1.9m望遠鏡 (さらに、平成元年度海外学術研究「恒星進化における動的過程の高精度天体物理観測」(研究代表者:辻隆)の分担課題としてハワイ大学マウナケア天文台において行なった観測:10月30日-11月1日(測光、0.6m望遠鏡)、11月2日-4日(分光、2.2m望遠鏡)の成果は本研究のデ-タの一部としても利用された。) 2.磁気テ-プやフロッピ-ディスクに記録された多量の観測デ-タを処理するため昨年度購入した磁気テ-プ装置、パ-ソナルコンピュ-タ等と、独自に開発した解析プログラムを用いて解析を行なった。 3.惑星状星雲中心連星3つについて概略つぎのような成果を得た。 LT-5:これまで分かっていなかった自転周期、公転周期を決定した。 また、三重連星系であることを明らかにし、連星各星の物理量について考察を行なった。 UU Sge:初めて視線速度曲線を完成させ、中心星の物理量のとれる値の範囲を与えた。また、星雲と中心星の視線速度が異なっていることを発見した。 HFG1:1周期にわたる光度曲線を得、反射効果を入れた一応の連星モデルを求めた。
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