研究概要 |
本研究では、惑星状星雲中心星のうち近接連星をなすものに着目し、光学観測から惑星状星雲中心星の基礎的な物理量を精度良く決定することを目的とした。また、惑星状星雲の近接連星中心星への進化に関連して、後主系列期にある近接連星の研究を行った。 惑星状星中心星のうち、近接連星系をなすLT-5、HFG1、UU Sgeの3星について光学観測を行った。観測は、国立天文台岡山、堂平観測所の188cmと91cm望遠鏡を用いて行われた。また、海外学術研究(昭和63年度:研究代表者 小暮智一、平成元年度:研究代表者 辻 隆)の補助を受けて行われたハワイ大学マウナケア天文台224cmと61cm望遠鏡による観測デ-タも本研究の解析に供された。 LT-5については、これまで周期が分かっていなかったが、本研究により、自転周期が1,200日、公転周期が1,755日の近接連星であり、さらに外側を高温星(惑星状星雲を励起している)が周期およそ2,000日でまわっている三重連星であることが分かった。3つの星の質量・半径・表面温度等についての考察を行った。この研究では、研究分担者を指導教官とする大学院生ハキム ルトフィ マラサンが観測に加わり、解析作業を行い、主要な部分を修士論文として発表した。 HFG1については、ほぼ一周期にわたる光度曲線を得、Grauerらの発見を確認した。変光は「反射効果」で説明され、一応の連星モデルを求めた。 UU Sgeについては、初めて視線速度変化を観測し、質量関数を得た。質量・半径について重要な制限をつけることができた。 また、後主系列の近接連星に関してδ Cap、UZ Pup、DD Monの3星について解析を行い、より詳しい物理量を導出し、連星進化について考察を行った。
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