1.ガスモデルやフォッカー・プランク・モデルでは、post-collapse evolutionの際、gravothermal oscillationsが起こることが知られているが、そのときにコアに含まれる星の数は約50個と非常に少ない。そのため温度のゆらぎも大きいことが予想され、gravothermal oscillationsを起こすのに必要なinverse temperature gradientがコアの中で生じるかどうか疑問である。それを確かめるのにN体実験をした。コアの緩和時間の約十倍まではコアの膨張が起こるが、その後コア半径は振動し、ガスモデルで見られるような単調な膨張は見られなかった。 2.恒星系力学の基本方程式は、軌道平均したフォッカー・プランク方程式であるが、二次元以上の場合、それを数値積分するのは困難である。それで、近似解を求めることが望まれるが、変分原理を用いるのはそれに適している。Glansdorff & Prijogineのlocal potentialを用いて変分原理を導いた。この研究は、近日中にMonthly Notices of the Royal Astronomical Societyに投稿予定である。 3.Itoh et al.(1988)では、初期分布がポアッソン分布をしている場合を調べた。その結果は、Saslaw and Hamilton(1984)の分布が再現されることが分かった。本年度は、初期条件がポアッソン分布以外の場合として、パワー・スペクトルが巾関数の場合を調べた。その結果、f(N)に含まれるパラメータbが、体積Vに依存することが分かった。b(V)は、簡単な考察より、相関関数との関係は、解析的に求めることができ、数値実験の結果も、それが正しいことが分かった。これは、Suto et al.として現在投稿中である。
|