1.恒星系力学の基本方程式は、軌道平均したフォッカ-・プランク方程式であるが、二次元以上の場合、それを数値積分するのは困難である。それで、近似解を求めることが望まれるが、変分原理を用いるのはそれに適している。Glansdorff & Prigogineのlocal potentialを用いて変分原理を導いた。この研究は。Inagaki & Lynden-Bellとして印刷中である。 2.Itoh et al.(1988)では、初期分布がポアッソン分布をしている場合を調べた、その結果は、Saslaw and Hamilto(1984)が導いた熱力学的f(N)が再現されることが分かった。本年度は、初期条件がポアッソン分布以外の場合として、パワ-・スペクトルが巾関数の場合を調べた。その結果、f(N)に含まれるパラメ-タbが体積Vに依存することが分かった。b(V)は、簡単な考察より、相関関係との関係は解析的に求めることが出来、数値実験の結果もそれが正しいことが分かった。これは、Suto et al.として印刷中である。 3.Itoh et al.(1988)では、銀河の質量が一種類の時のみを調べたが、今年度は、多種類の場合の一番単純な場合として、銀河が二種類の質量からなる場合を考えた。軽い方の銀河の質量をml、重い方の銀河の質量をm2としたとき、m2/mlが10以下の時は、Saslaw & Hamilton(1984)が導いた熱力学f(N)が実現されることが分かった。この結果は、Itoh et al.(1990)として印刷中である。
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