大質量産生成の機構解明を目指し、今年度はより細かい構造を明らかにする微視的なアプローチと広域マッピングによる構造の解明、星生成の大規模な系でのトリガー等の解明という両面からの研究計画を現在遂行中である。 まず微視的なアプローチとして、我々がこれまで観測してきたW58領域の稠密HII領域K3-50の周りの微分回転するproto-stellar diskとアンモニアの観測より、原始星に降り注ぐガスが発見されているW31の回転ディスクの構造を明らかにしたい。具体的には、今年、NROの5素子干渉計でW31の回転ディスクを観測した。これは現在第2配列まで観測が終了し、計算機によるデータ処理を行っている。結果は45m鏡で見えなかった構造を明らかにしてより、今後他の干渉計の結果と突きあわせるなどして、このコアの構造がかなり明らかになる事が期待される。 このようにコアの内部構造と干渉計を用いて明らかにし、星形成がコアの内部でどのように進行するかを詳細に調べていくと同時に、今年度は上記したように、星生成を大局的に捕える計画を進行中である。即ち大質量星生成のトリガーとしては、従来、HII領域の膨張、銀河の密度衝撃波、分子雲衝突が言われているが、現在の所、明確な証拠は無い。この解明の為に大質量星生成領域の広域マッピングをし、上記したdenseコアが巨大分子雲から、どのように形成されるかに迫りたい。この為に今年度は45m鏡によりW58領域の分子雲の広域マッピングを行った。この結果も現在データ整理中であるが、中間報告を平成元年度の春季年会で発表する予定である。今後、他の大質量星生成領域の観測を提案したいと考えている。
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