研究概要 |
今年度は原始星の母胎のガス雲の質量あるいは速度幅等を調べる為に45m鏡を用いて、タウルス領域のT-Tauri星の分子線観測を行った。これは原始星誕生領域を捜すアプロ-チとして、母胎のガス雲の物理環境を把握しよういう試みである。最近Weintraub等(Apj.340,L69,1989)がT-Tauri星等をサブシリ波で観測した。彼等は幾つかのT-Tauri星の降着円盤を分解し、800μmで1000〜2000AVスケ-ルの構造があること、その質量が太陽質量の数%である事を見つけた。我々は、この降着円盤と分子雲ディスクの関係、分子雲ディスクガスの散逸の時期等のプロセスの解明を目指し太陽質量程度の星で、原始星誕生の10年から木星形勢の10年、更に主系列星の10年までの間の色々な時期の星を選び出し、45m鏡で観測した。 しかしながら、多数のT-Tauri星の^<13>CO、^<12>CO(J=1-0)観測を行ったにもかかわらず、ディスクガスが輝線で受かるどころか、雲に埋もれた星はCOが穴になっている事が判明した。晴れ渡ったT-Tauri星ではCOは全然受からなかった。 これらの星では、分子雲ディスクガスは既に散逸してしまったのだろうか。45m鏡のビ-ム幅は17"でタウルス領域は3000AVにあたる。ビ-ムダイル-ションで受からないとすれば、ディスクの上限値を決定できるようになる。deepに観測してディスクが見つかれば、その速度幅、密度から原始星誕生領域の物理状況を推定する事ができる。今後より若い星を中心に、各年代の星を多数観測し、ガスの散逸課程を詳しく調べていきたい。以上の成果は平成2年度春季天文学会で発表される予定である。
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