核子とシグマ粒子の間に働く現実的相互作用に基づいて、3核子とシグマ粒子からなる4体系を解き上げた。その結果に基づき、ヘリウムのシグマ・ハイパー核の存在を理論的に予言した。この間、高エネルギー研究所で行われた実験によって、ヘリウムのシグマ・ハイパー核が確かに存在することが世界ではじめて観測された。これは、今後、シグマ・ハイパー核が1つの分野に育っていく上で大きなステップになるものとおもわれる。 他のシグマ・ハイパー核の存在の仕方として、クーロンカによる原子状態と核力による核状態のハイブリッド(混血)状態が存在しうることを提案した。これはベリリウムのシグマ・ハイパー核として存在している可能性があることを理論的に明らかにした。最も思い安定核である鉛でもシグマ・ハイパー核が存在しうるかどうかは興味ある問題である。核子とシグマ間の現実的相互作用に基づく計算によって、核表面近くに特有の体力効果があらわれることを見つけ出した。この体力効果は、重い核においてもシグマ・ハイパー核の存在を可能にすることを明らかにした。 これは、高エネルギー研究所のプロジェクトの1つとして実験的に確認されると思われる。これが成功すれば、シグマ・ハイパー核に関しては、最も軽いものから重いものまでの存在を世界に先がけて明らかにしたことになり、本一般研究(C)の大きな成果となる。
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