研究課題/領域番号 |
63540202
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳田 勉 東北大学, 理学部, 助教授 (10125677)
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研究分担者 |
吉村 太彦 東北大学, 理学部, 教授 (70108447)
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キーワード | 大統一理論 / ニュ-トリノの質量 / ニュ-トリノの崩壊 / 宇宙背景輻射 / ニュ-トリノの振動 / 大気ニュ-トリノ / スファレロン解 / 宇宙のバリオン数 |
研究概要 |
ニュ-トリノの質量は大統一理論の重要な予言の一つである。平成元年度は、ニュ-トリノが100KeV-1000KeVの質量を持ち輻射崩壊を行う場合に宇宙物理へ与える効果を詳しく調べた。ニュ-トリノの寿命が10^<10>-10^<14>秒の時、宇宙背景輻射のスペクトラムのエネルギ-の高い部分を10%以上ゆがめることが分った。最近、米国の人工衛星の測定によりスペクトルのゆがみは1%以下であることが確認されニュ-トリノの寿命に強い制限が与えられることが分った。 最近、神岡地下実験グル-プは大気ニュ-トリノの測定に成功した。しかし、VeとVμの比が理論値の2倍程度である事が報告され話題になっている。そこで我々は大気ニュ-トリノの理論計算を独自に行った。我々の結果はこれまでの結果と10%以内の範囲で一致しており、大気ニュ-トリノ問題は確実に存在する事を確認した。もし実験も理論も正しければ、ニュ-トリノは0.1eV程度の質量を持ち振動を行うことになり、大統一理論に大きな影響を与える。 素粒子の標準模型の重大なパズルにバリオン数の破れが高温で大きくなると言う問題がある。我々は、スファレロン解の量子状態を詳しく調べで、高温初期宇宙ではバリオン数の大きな破れが実現することを確かめた。これが正しいとすると、温度100GeV程度の初期宇宙で全ての宇宙のバリオン数が消え去ることになる。もしニュ-トリノがマヨラナ質量を持っていれば、上記の困難を解決できることを示した。
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