これまでに準備してきた前平衡複合過程の定式化に従って、数値計算を始めた。テストケ-スとして14MeV中性子の^<40>Caと^<208>Pbによる散乱を簡単化した模型を使って計算した。直接相互作用の影響は無視して、普通の光学ポテンシャルを使って、透過係数を計算した。複合核は結合状態の核子のみより成るとすると、光学ポテンシャルの虚部は入射エネルギ-10MeVで山になり50MeV位で霍になるが、今考えているエネルギ-領域では透過係数への影響は小さい。 我々の定式化は強結合近似に対応するが、残留相互作用を入れない準位密度を使った弱結合近似も考えた。これは今迄の現象論的解析が基礎としてきたものである。^<40>Caの場合強結合による拡散中は弱結合の10^2位になるが、逃げ巾では10倍位で、そのため速かに複雑な状態に進む。しかし4pー3h迄しか計算に入れなかったので、不十分な計算であった。^<208>Pbでは5pー4h迄考慮して計算を行い、強結合では4pー3hに山をもつ断面積が得られたが、弱結合では低い状態に準位がないので、断面積は霍となった。入射エネルギ-がもう少し高くなると、2pー1h、3pー2hからの吸収が主要となり、直接相互作用の影響が重要となる。 前平衡過程の計算には^<41>Caや^<209>Pbの準位密度や2次モ-メントが必要であるが、これまでのコ-ドを拡張して計算を行った。これ迄の計算は閉殻核に限られているが、開殻核の計算も始めた。球形核の場合には対相関をとリ入れるが、普通BCS近似が使われる。粒子数非保存の影響を粒子数射影法を使った予備計算によって調べた。開殻核への拡張と直接相互作用をとり入れることは次の研究の目標である。
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