研究概要 |
平成元年度の研究では ^<11>Liや ^<11>Beの中性子過剰核では双極子型巨大共鳴の強度分布が中重核等で系統的に発見されている励起エネルギ-の質量依存性からかなりずれて低いエネルギ-になる事が指適された。この巨大共鳴は,スピンに依存するものとスピンに依存しないものに区別される。これらの双極子型巨大共鳴は ^<11>B(d, ^2He) ^<11>Be反応や, ^<11>B(π^ー,π^+) ^<11>Li反応でその存在が確認されつつある。我々は大次元殻模型及び乱雑位相近似を用いて,そのモ-ドを計算した。 ^<11>Beに関しては我々の結果と実験は同じ傾向の共鳴状態を作っており,スピンに依存した多極子型振動である事を確認した。一方, ^<11>Liのスペクトルに見えているIMeV付近のピ-クも双極子型の可能性が強い事を指摘した。又、他の零極次及び千重極次の振動もIMeV付近に現われる事が,RPA計算により示された。 63年度,平成元年度の研究で,我々はグラウバ-模型を用い,放射性原子核の中高エネルギ-散乱を研究してきた。その結果放射性原子核に対する小さな分離エネルギ-の効果を取り入れた波動関数が重イオン散乱断面積を良く再現する事がわかった。一方,ここ2,3年の実験的研究でゆるく束縛された「中性子ハ-ロ-」と呼ばれる核内の核子の運動量分布が入射重イオン分解反応でくわしく調べられている。我々はこの反応を直接反応模型で研究した。この模型は散乱断面積の運動量依存性を絶対値を含め計算する事が出来る特徴を持つ。この研究により,( ^<11>Be→ ^<10>Be+π)分裂反応の運動量分布はゆるく束縛されたIS_<1/2>軌道の波動関数でのみ説明出来る事を示した。これは,Nilsson模型で指適されている超変形の可能性を否定している。
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