本研究計画にそって、極度中性子過剰核^<11>Liを中心に、中性子超過剰不安定核の構造研究が行われ、これらの核の有する特異なハロ(暈)構造の現れる機構についての理論的解明がなされると共に、この種の特異構造に固有で新たな種類の集団励起モ-ド、特に軟電気双極子振動モ-ドに関する理論的研究が進展した。不安定原子核ビ-ムを用いた反応実験で、中性子雫線上にある原子核は異常に大きい相互作用半径を持つこと、又それは幾つかの外殻中性子が芯核の周りに広く広がりハロ状の様相が現れたい結果であること等が明確にされてきた。昨年度からHe同位元素や^<11>Liを対象にして、微視的模型に基づく構造解析を進めてきた。引続き今年度は、芯核に弱結合した中性子群の運動を記述するに適したクラスタ-軌道殻模型に基づく研究が精力的に進められ、中性子雫線上核では中性子ハロ構造が現れること等実験で示された性質の再現に成功した(第二、第三き研究論文)。しかし、この模型では弱結合中性子群の結合エネルギ-が不足する結果になる問題点があったが、この模型空間の対創刊を取り込める拡張中性子クラスタ-模型空間を組み込んだ混成模型に基づく研究が^<tt>Liで進められ、中性子ハロ構造とその結合エネルギ-の矛盾無き解明が行われた(第四の研究論文)。一方、この種の構造に特有な軟電気双極子振動モ-ドの研究も、外殻中性子とそれ以外の芯核の間の大きなずれによる振動運動の半古典的模型に基づく研究(第一の研究論文)が微視的模型に基づく研究と共に展開され、その定式化された枠組みでこれまで謎とされた実験事実に説明が与えられた。これらの研究は、昨年10月第一回不安定核ビ-ムに関する国際会議で、招待講演となった(第五の研究報告)。この研究課題は、上記の構造解明の成果の上にたって、新たな段階での微視的模型に基づく理論的研究の対象となっており、研究が進展している。
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