1.前年度、"光的ゲージのローレンツ共変化"の手法で、通常のボーズ弦に対してゲージ弦場理論を構成する仕事を行なったが、そこでは加藤・小川(KO)ゲージとSiegelゲージという2つのゲージ固定を議論していた。この時、KOゲージでの物理的状態に関しては完全な議論を与えたが、残念ながら、そのゲージではlaop振中の段階で∞×0の不定形が現われるという困難があった。そこで今年度は、先ず初めに、Siegelゲージでの物理的状態を完全に決定し、更に、KOゲージ(ζ=0)とSiegelゲージ(ζ=1)とを内挿するR_ζゲージを考案し、その関係を議論した。その結果、任意のζ≠0に対するゲージ固定理論は、場の引数の変数変換で全てζ=1のSiegelゲージの理論に帰着できる(既ちζに依らない)という事がわかった。この結果は、この理論に於けるゲージ非依存性を証明するばかりでなく、KOゲージに於ける不定形∞×0の問題に対して、R_ζゲージがlim_<ζ→0>〔(1/ζ)×ζ〕の形で一つの正則化を与えることを示しており、KOゲージに良く似たHIKKO理論のαのloop積分の発散の構造に対しても大きな示唆を与えるものである。 2.この事より、我々の"光的ゲージのローレンツ共変化"ゲージ弦場理論は、任意のζのR_ζゲージで、光的ゲージの弦理論と同じ物理的振巾を与える事がわかる。すなわち、loop補正に振巾に於いて、モデュラー不変性に関する数えすぎがない無矛盾な理論である事が示された。 3.同じくボーズ弦に関して、つい最近、Witten型の3点頂点凾数を閉弦の場合に適用すれば、4点、5点、…と、任意のnに対してn点頂点凾数を用意する非多項式場の理論になること、またそのn点頂点凾数の形を特定し、tree振巾が正しく再現することを示すのに成功した。 4.超対称粒子や超対称弦への適用は、予想より困難で、今までの所、目ぼしい進展はないが、鋭意研究中である。
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