先に我々京都グル-プ(畑、伊藤、九後、国反、小川)の構成した開弦および閉弦の場の理論は、非物理的な弦の長さのパラメ-タαを含んでおり、そのためル-プ振幅のレベルで無限大の因子を生ずるという困難があった。一方Wittenの場の理論にはパラメ-タαが現われずその困難は存在しないが、閉弦の場合へ拡張するのが非常に難しいと思われていた。 我々が一昨年から昨年にかけて構成した“共変化された光円錐弦場理論"は、非物理的な弦の長さのパラメ-タαの問題を、さらに多くの非物理的パラメ-タを加えることにより解決したのだが、そもそも非物理的パラメ-タを全然使わずに閉弦の場の理論を構成することが可能か?という疑問が生ずる。 この問題に対し、SaadiとZwiebochが非多項式型の作用積分を持つ理論の枠組みを提唱し、非物理的パラメ-タを含まない閉弦の場の理論が作れる可能性がある事を指摘した。彼らは、しかし、6点以上の弦バ-テックスの形について特定することができなかった。 我々は、先ず、任意のn点バ-テックスの形についてそれを特定する条件を見付け、その条件を満たしているならば正しい振幅を再現する必要条件をちょうど満足していることを示した。 次に、より具体的にn点バ-テックスを構成し、弦の場の非多項式作用積分を与え、それが事実ゲ-ジ変換の下で不変性を持つことを証明した。さらにゲ-ジ固定条件を置いたとき、その理論のtreeレベルの振幅が、任意の物理的粒子のn点振幅に対し、正しいVirasoroーShapiro振幅を再現することを示した。 現在、非多項式型の広い枠組の中で、果たして超対称閉弦や混成弦の場の理論が同様に構成できるかどうかを検討中である。
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