1.共変化された光円錐弦場理論の構成 先に我々京都グル-プ(畑、伊藤、九後、国反、小川)の構成した開弦および閉弦の場の理論は、非物理的な弦の長さのパラメ-タαを含んでおり、そのためル-プ振幅のレベルで無限大の因子を生ずるという困難があった。その困難は、光円錐ゲ-ジの場の理論を共変化する技法により、α以外にさらに、ボ-ズ的座標一つとフェルミ的座標を二つ加えて四重項とすることにより回避できる。この“共変化された光円錐ゲ-ジ弦場理論"の一般的構成法を明らかにし、それにより開弦および閉弦の無矛盾なゲ-ジ弦場理論が実際作れることを示した。 2.超対称弦の場の理論の新しいゲ-ジ対称性 Wittenの与えた超対称開弦の場の理論が、Ramondセクタ-で、これまで知られていなかった新しいゲ-ジ対称性を持つことを見出し、それが理論の無矛盾性にとって重要であることを示した。このゲ-ジ対称性の認識は、未だ成功していない超対称閉弦や混成弦の場の理論の構築に際しても本質的重要性を持つと思われる。 3.非多項式型の閉弦の場の理論 共変化された光円錐弦場理論は、非物理的な弦の長さのパラメ-タαの問題を、さらに多くの非物理的パラメ-タを加えることにより解決したのだが、そもそも非物理的パラメ-タを全然使わずに閉弦の場の理論を構成することが可能か、という疑問が生ずる。この問題に対し、作用積分を非多項式型にすれば実際に(少くとも古典場の理論としては)無矛盾な閉弦の場の理論を構成することが可能であることを明らかにし、そのゲ-ジ不変な作用積分を具体的に与えた。
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